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ひとり句会-近詠
ひとりだけの気ままな句会
如雨
俳誌、雑誌等掲載、句会等入選の俳句を記録のためにサブノートのさらにサブとして置きました。

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近      詠





ここ三年ほどの句を掲載しています。
それ以前の句は各季別のファイルにまとめてあります。
フリガナは一部新仮名遣いにしていることろがあります。
▽このページの末尾へ





夏:草いきれ、夏燕・郭公(課題「知」)、夏の蝶。

2025.6~7

幾万の生命ひしめく草いきれ 
ここからは草いきれ道辻地蔵
町の道知りぬき自在夏燕 
郭公の企み知らず餌を頒つ
蔭多き寺庭を選りて夏の蝶

夏:夏めく、新茶、草いきれ、青田(課題「里」)。

2025.5

夏めくや時どき揃ふ笛の音
夏めくも脅す雨雲雷ひとつ 
新茶汲む来し方語る里言葉 
百万の生命の気炎草いきれ 
みちのくはどこもふる里大青田

夏:蝸牛(かたつむり)、昼寝覚・鞦韆(しゅうせん)(課題「世」)。

2025.5

でで虫の歩を慈しむ歳となり 
気忙しき世に取り合はず蝸牛
父母の世にうつかり長居昼寝覚 
戯れの鞦韆人世浮き沈み

春:青き踏む、春寒し、花の冷え。

2025.3

年齢(とし)すこし振り落すごと青き踏む
老成に遠き道程(みちのり)青き踏む
大船渡の山林大火
火は山を這ひ海暗く春寒し
即効の一献()せり花の冷え

春:長閑、春疾風・飛花・夕桜(課題「成」)。

2025.2

覚えある訛りガイドの声長閑
人違ひの一揖(いちゆう)を詫ぶ長閑かな 
大願は成らず絵馬打つ春疾風 
晩成てふ語に牽かれ来て飛花の中

冬:おでん、寒に入る(課題「気」)、冬麗。

2025.1

蟹歩きして奥の席おでん酒 
五臓六腑営み健気寒に入る
狛犬の阿の音漠と冬うらら
冬うらら葉を留む木々競り合うて

冬:氷点下、樹氷、老いの春・寒風(課題「見」)。

2024.12

雷に似るカート引く音氷点下  
樹氷咲く蔵王色なく粛として
装はず何に見栄張る老の春 
寒風やうす着の吾を見逃さず

冬:小春・帰り花、飛雪・寒林(課題「時」)。

2024.11

夢あまた吸ひて小春の古枕 
刈込みし枝に(つぼ)める帰り花 
大時計誉めて飛雪の宿りかな
何時ぞやの夢寒林に捨てにゆく

冬:おでん、冬の雲・冬紅葉(課題「分」)。

2024.10

おかへりと言はれ今日またおでん酒  
本心は湯気に隠しておでん酒
山半分明るく残し冬の雲 
存分に魅了しなほも冬紅葉

秋:竹の春、月見、今日の月。

2024.9

みちのくの蝶ふらふらと竹の春
道ひとり(そら)にみちづれ月見かな 
白雲の添ひて隠さず今日の月 
友亡くてけふの月見る鬼城の忌 

秋:曼珠沙華、鰯雲・紅葉(課題「行」)。

2024.8

怠れる考妣(こうひ)の回忌曼珠沙華 
寺門への道に気取らず曼珠沙華
行く末にわづかな願ひ鰯雲 
紅葉行くトロッコ列車最徐行

夏:夏果・雲の峯、風鈴市・夏夕べ(課題「客」)。

2024.7

喘ぎあへぎ干支七度目の夏終る  
ひと雨を願へど遠き雲の峯
客誘ふ程よき風の風鈴市
風音を客かと覚ゆ夏夕べ

夏:空蝉・雷(課題「意」)。

2024.6

空蝉の威風あざむくその軽さ 
空蝉や重厚にして虚ろなる
庭下駄に敵意なき眼の蜥蜴居る 
独り居を脅すや不意の日雷

夏:新緑・梅雨・緑雨。

2024.5

新緑や在るものすべてやはらかし  
夢とただ一文字の墓梅雨寒し  
ほとばしる生命の森に緑雨かな  
新緑の気ままに競ふ狭庭かな

夏:夏めく、打水・梅雨(課題「後」)。

2024.4

香煙に太き二の腕夏めきぬ 
遠山の影おく田面(たのも)夏めきぬ
打水の後気まぐれな通り雨 
気まかせの後ろ歩きに梅雨の星

春:春夕べ、強東風、梅。

2024.3

憂ひなしと強がり酌むや春夕べ  
強東風や天神の絵馬打ち合うて  
指で拭く硝子戸の露梅三分

春:山笑ふ。薄氷・初蝶(課題「心」)。

2024.2

地震(なゐ)に明けしこの年もまた山笑ふ 
幾すぢか水送り出し山笑ふ
薄氷(うすらひ)を踏めば童心らしきもの 
初蝶やむかし心を占めし夢

新年:あらたま、初明り。冬:冴ゆ、寒夕焼。

2024.1

あらたまを砕きし地震(なゐ)の咎幾重 
雨戸引くすなはちどつと初明り
扉を開けて待つ終電車風冴ゆる
手術終へまどろむ妻に寒夕焼

冬:寒の雨。雪・年酒(課題「一」)。

2023.12

手術室妻眠りてむ寒の雨 
枯約束の午後ははたして寒の雨
雪載せて客車一輛夜の駅
一齢をまた加へけり年酒酌む 

秋:秋深し・冬用意・冬仕度。冬:冬構・時雨。

2023.11

剃る髭に白の交じりて秋深し
二十年開けぬ箱開け冬用意
捨てがたきものの言い訳冬仕度
空き家かと見えしが確と冬構 
いづこにか音ひとつして時雨かな

冬:炭団・初暦(課題「丸」)。枯菊。

2023.10

崩れずに尽きし炭団の丸さかな 
わが干支の生れ日に丸初暦
枯菊を焚けば漂ふ掉尾の香 
誉め言葉みな根に残し菊枯るる 

秋:温め酒・秋の風(兼題足)・雁渡し・新涼。

2023.9

往けぬ地の銘柄を選り温め酒 
駈け足で来たれ皆待つ秋の風 
城跡の橡の葉擦れや雁渡し
新涼は吝嗇風のありやなし

秋:小鳥、小鳥来る。秋夕焼・鰯雲(課題「口」)。

2023.8

もどかしき見えざる小鳥揺るる枝  
小鳥来る蘇る森津浪痕
公園の蛇口上向き秋夕焼
いわし雲口衝いて出る郷の唄

夏:炎天、蝉時雨、合歓の花。

2023.7

連なれる黙祷の日日炎天下 
炎天や故山の偉容さへふて寝 
耳鳴りの癒えたる如く蝉時雨 
合歓の葉の眠る(かたへ)に花のゑみ

夏:四葩(よひら)、立葵(課題「坂」)。秋:残暑。

2023.6

杖の身を励ます四葩女坂  
海坂(うなさか)に溶けゆく没日立葵
湧きさうな句ごころ(かす)む残暑かな  
クレーン突く残暑の街の空四角

夏:暑し、端居、涼風

2023.5

思ひ出す顔出ぬ名前風暑し 
老いらくの無為は愉しみ夕端居
電車過ぐあとを涼風埋めに来る
涼風やカーテン吹かれきてしぼむ

夏:早苗田。夏座敷、松落葉(課題「中」)。

2023.4

早苗田の隅に仕上げの二三本  
降り出して波紋競り合ふ植田かな
山中と思ふ静けさ夏座敷  
人待ちて昏るる中庭松落葉

春:枝垂梅、春、囀、彼岸。

2023.3

行く雲や父往ぬ年齢となる彼岸 
やはらかき土踏み春を得し心地  
風来ればひととき舞ひて枝垂梅
囀や愛の会話を憚らず
囀の擬音似気(にげ)無き夜の駅

春:クロッカス・春の雨(課題「土」) 、花曇。

2023.2

土塊を除ければ芽ざすクロッカス  
やはらかき土に仕上げて春の雨
己が影失せまた淡く花曇  
老いの歩の幾たび遅れ花曇

冬:寒に入る、冬ざくら、春近し。新年:屠蘇、初笑ひ。

2023.1

大三角しかと位置取り寒に入る
咲き満つも日影さびしき冬ざくら  
風に鳴る新しき絵馬春近し  
微笑みて語る来し方屠蘇の酔  
(まろ)びし子母を見上げて初笑ひ  

冬:悴む。新年:(課題「出」) どんと祭・四日。

2022.12

悴める電話訥々語を繋ぐ  
悴む手鋏を逃る絡み枝
転げ出る両目の達磨どんと焼  
覚えある出囃子洩れ来四日かな

冬:帰り花、枯野、冬紅葉、冬木立。

2022.11

成らざりし夢数知れず帰り花  
己が影細く枯野をゆく齢  
老の坂事無く過ぎよ冬紅葉
空広く町並近く冬木立

秋:新酒、今年酒、秋時雨、秋思。

2022.9

蘊蓄は敢へて語らず新酒注ぐ  
米寿まで命惜しまむ今年酒
机の灯消せば微かに秋時雨  
灯火を消して秋思の今日を閉づ

夏:大暑、炎暑、雲海、原爆忌、梅雨籠。

2022.7

動くものただ波ばかり大暑かな
雲海に捨てたる憂さの待つ下界  
原爆忌短き影の祈りかな
すべからく不要不急よ梅雨籠
核の棒埋めてやあらむ炎暑かな

夏:青田、蟻、走り梅雨、沖縄忌。

2022.5

いつさいを広き青田に忘れけり  
命ある虫曳く蟻のたぢろがず  
六法に若き我の字沖縄忌
若葉マークおづおづ右折走り梅雨
人忙し薄暮の駅の走り梅雨

春:春宵、春燈、連翹。

2022.3

春宵の明りほのかや火灯窓(かとうまど)  
月影に愛でられ淡し春燈  
連翹の一枝丸く垣の外

新年:屠蘇。冬:冬籠、白菜、湯冷め。

2022.1

老いたりと未だとも覚ゆ屠蘇の酔  
冬籠広辞苑繰る無聊かな  
剥ぐほどに白菜の肌真白なる
白菜を割れば幅狭等圧線
中天にオリオンありて湯ざめかな

秋:温め酒、冬:時雨、師走、十二月、枯木立。

2021.10

我が問にわれが答へて温め酒
陰陽師祀る神社の京時雨
あの老の店は更地に師走風
老い急ぐつもりはなくも十二月
石段に折れ映る我枯木立

秋:紅葉、椋鳥、昼の虫。

2021.9

妻願ふ上げ膳据へ膳紅葉宿  
椋鳥(むく)万羽昏む一樹に収まりし
ひび入りし駅の柱や昼の虫

秋:秋、秋彼岸、新豆腐、蟷螂、秋真昼。

2021.8

「功」「巧」は失せ「朽」のみの八十路秋
目瞑りてまた独り言秋彼岸
半分は仏に頒かち新豆腐
挑みてむ虚空切る斧小蟷螂
秋真昼出窓に眠る猫二匹

夏:大暑、夏の果、川涼み、百日紅。

2021.7

籠り癖俳句不作の大暑かな  
思ひ出のみな色褪せて夏の果   
ほろ酔うてひとりがよろし川涼み  
雨伝ふ幹艶やかに百日紅  

夏:団扇、一夜酒、夏祭、梅雨晴間、梅雨明。

2021.6

そこここに来し方の風古団扇
沁み渡れ萎へし五臓に一夜酒(ひとよざけ)
老いて子に返る愉しさ夏まつり
モノクロの(ひた)と色づき梅雨晴間
梅雨明けや隅に見知らぬ花ふふむ

夏:百合、灼く、罌粟(けし)坊主、梅雨寒し。

2021.5

百合供へ(はは)に八十路の我在りと 
影小さし灼くる広島祈る街
罌粟坊主揺れて遊ぶや微睡むや  
三円の解約利息梅雨寒し  

夏:葉桜、梅雨籠、四葩、青野、明易。

2021.4

会者定離葉桜の空いさぎよし
臆病と安全同義梅雨籠
雨しとど四葩(よひら)の庭の暗からず
どこまでも空を支うる青野かな
年代の入り交ふ夢や明易し

春:水温む、春眠、初蝶、花の冷え、春疾風、

2021.3

一陣の風にきらめき水温む
春眠や少年の日の夢五彩
緩き歩の我に初蝶添ふ日和  
余命てふ語のひしひしと花の冷え   余命表'19

春疾風蹴散らす絵馬の高望み

春:梅、霞、東風寒、桜闇、花の塵。

2021.2

スニーカーに替へれば軽し梅の坂
独り言つ往時茫々春霞
東風寒や合格祈願絵馬微動
ビル映す千鳥ヶ淵の桜闇
径までの遊び束の間花の塵



以下は季別のFileに移稿済です。('22.8.9、'24.2.13。)

新年:初明り、賀状、四日。春:余寒、春の風邪。

2020.12

我になほほどほどの夢初明り
年賀状拙き一句添へし悔い
大吉も護らぬ風邪の四日かな
酒いかが背中に誘ふ余寒かな
銚子つつむ手から癒ゆるや春の風邪

冬:咳、羽子板市、日短。 新年:去年今年。

2020.11

吽形の貌して咳を怺へたる  
遠巻きも呼ばれて手締め羽子板市  
いさぎよき裸の欅日短か
憂きことは言はず思はず去年今年

冬:十一月、十二月、風邪薬、冬小菊、花八つ手

2020.10

十一月俄かに老いぬさるすべり
清水の一ト文字如何十二月
医者厭ふらむ微熱風邪薬買ふ
病むひとに逢へず古りたる冬小菊
足るを知るは老への褒美花八つ手

秋:雨月、菊の香、蟷螂

2020.9

人偲ぶ時宜(とき)と思へり雨月かな  
菊の香や老てふ世界未知と危懼
蟷螂の斧上ぐる先すでに星

秋:秋の風、うろこ雲、稲穂、夜長、今年酒

2020.8

水底に波の影なす秋の風
またひとり遠くなりけりうろこ雲
夕風に揺らぎわづかや稲穂波
終バスの往きて夜長の水明り
戻り来よネオンの温み今年酒

夏:百日紅、端居、夜の秋、胡瓜

2020.7

まづ健康父の口癖百日紅
句仲間は遠く酒友もなく端居  
人ひとり過ぐる息差し夜の秋
棘強き胡瓜をほめて洗ひけり

夏:梅雨晴間、炎昼、夏萩、風鈴、浴衣

2020.6

怠りの日月なれど梅雨晴間
炎昼や千木(ちぎ)も神樹も動かざる
夏萩や父母の忌未だ修せざる
幾春秋寂びたる里の鉄風鈴
行きどまり返す畦道浴衣の子

夏:夏座敷、青野、日傘、五月、「静」

2020.5

静寂が先客のごと夏座敷  
真ふたつに青野を分けて鉄路かな  
日傘たたむ深きお辞儀の喪服かな
ふるさとは遠し自粛の五月なる

夏:立夏、夏の雨、木下闇、葉桜、七変化

2020.4

厄除け風鈴 強ひられし街の静寂夏に入る
休業の貼紙古書肆夏の雨
不要不急俯き歩む木下闇
訊ねまじ疾うに葉桜家籠
この年はなに色にせむ七変化

春:花、朧夜、春疾風、啄木忌、花冷

2020.3

気を持たす標本木の花一輪
朧夜や傘寿息災急ぐまじ
病む友の古き手紙や春疾風  
心奥のふるさと目覚む啄木忌  
一献に癒し求むや花の冷え

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新年:老の春、屠蘇の酔
冬 : おでん、枯尾花、山眠る

2020.1

鏡には嘘なき齢老の春
八十路てふ老の入口屠蘇の酔  
おでん屋に客を追ひ込む襟の風  
逆光と風はともがら枯尾花
裾を縫ふ水なき川や山眠る

冬:凍て月、春近し。春:寒明け、冴返る

2019.12~20.1

凍て月やポストの頭仄白く
眠き日の雨音しづか春近し
寒明けの地蔵の頬のゆるみかな
やり直す採血の針冴返る

新年:初明り、初景色

2020.1

ほどほどの八十路の願ひ初明り
枯色のまま予定地の初景色

冬:石蕗(つは)の花、冬の日、年忘

2019.12

石蕗の黄の色を奪ひて暮れにけり  
冬の日や微笑む風の生れけり
選り迷ふ笊の酒杯や年忘  

冬:風花、切干、短日。

2019.11

風花や地蔵に褪せし朱の被り  
風花に頬を吹かれて蕎麦屋酒
日の粋な仕置き切干日々細る
短日やふるさと訛り湯気の先

冬:立冬、大根引、帰花、銀杏枯る、熱燗

2019.11

冬立つや細くなりたる脹ら脛
大根引く土の香温し大き穴
強かな生命の証し帰り花
天を衝く公孫樹裸木街黙す
結論はつぎ会ふときに燗熱し

秋:糸芒、秋出水、末枯野(うらがれの)

2019.10

岩風呂へ径の孤灯や糸芒  
秋出水退いて泥の田雲奔る  
容赦なく甚振(いたぶ)旋風(つむじ)末枯野  

秋:秋立つ、秋暑し、虫時雨、鬼城忌、秋中日

2019.8

秋立つや朽ちてゆくもの稔るもの
異季の句を捨てて戻して秋暑し
鳴き下手も臆せず集く虫時雨
英訳の句碑置く街や鬼城の忌
供花(くげ)溢る新しき墓秋中日

秋:秋暑し、鰯雲

2019.8

蚊取りの香残る縁側秋暑し  
またひとり遠方(をちかた)に去り鰯雲

秋:今朝の秋、秋雲

2019.8

今朝秋のおりんの長き余韻かな  
秋雲や至上の涙準優勝
風なくも小花落ち初む今朝の秋

夏:梅雨寒、焼酎。 秋:星月夜

2019.7

啄木碑銀座梅雨寒傘滴(かさしづく)
焼酎の氷縮みて闇静か
医者勧む焼酎も酌む傘寿かな
星月夜そぞろ歩きのわらべ唄

夏:梅雨諸題、夏の雨

2019.6

梅雨寒しひとりホテルのバイキング
検査値は経過様子見梅雨の星
梅雨晴間話長引く犬自慢
所在なく捲る地図帳梅雨明くる
崩さるる山に溝掘る夏の雨

夏:枇杷、万緑

2019.6

椋鳥の去れば無慈悲な枇杷の疵  
万緑の例外ならず休耕地

夏:新緑、釣忍(つりしのぶ)

2019.5

新緑の枝伐る咎の一ト日暮る  
町筋の喧噪吸うて釣忍  

夏:余花、杜若(かきつばた)、たかんな、筍・蕗、青嵐

2019.4

杜若 余花残花ダウンロードの余命表
つぎ観るは八十路の老ぞ杜若
たかんなや鍬の刃痕の見事なる
盛り鉢に筍と蕗竹お猪口
ひと遅し松葉を運ぶ青嵐

春:遅日(ちじつ)、日永、紫陽花、短夜

2019.4

メトロ降り遅日の街の賑ひに  
池の()に鯉のひげ出す日永かな
紫陽花のありて明るき雨となり
短夜や泣いて寝る子のうまし夢

春:花、花屑

2019.3

墨堤に花咲満ちて風のまま
花屑を土に還して夜雨過ぎぬ

春:ものの芽、青き踏む、春の川、風車

2019.3

ものの芽やまた一年の幸賜ふ 
独り言ち励ます傘寿青き踏む 
わが影をさざ波にして春の川
子ら燥ぐペットボトルの風ぐるま

春:春の川、初蝶、うららか、長閑

2019.2

せせらぎは神笑むところ春の川
初蝶を吹く川風の容赦なき
うららかや犬と目が合ふ車椅子
忘れたる歌詞はララララ舟うらら
長閑さや猫も甘えを覚えけり

春:春の川、春寒、余寒

2019.2

子ら覗く何かあるらし春の川  
(あしうら)に土の硬さや春寒し
両の手で銚子を包む余寒かな

春:春寒し、春の風邪

2019.2

春寒し同じ礼言ふ販売機 
自慢せしその翌日の春の風邪 





★ 2020年以前の俳句は季別の各Fileに移稿しました ★






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Last Update:2025.7.30