夏:案山子、・・(課題「名」)。
2025.10



秋:秋の声・新蕎麦・「明」。
2025.9
秋:案山子、・・(課題「名」)。
2025.8



夏:草いきれ、夏燕・郭公(課題「知」)、夏の蝶。
2025.6~7
幾万の生命ひしめく草いきれ
ここからは草いきれ道辻地蔵
町の道知りぬき自在夏燕

郭公の企み知らず餌を頒つ
蔭多き寺庭を選りて夏の蝶
夏:夏めく、新茶、草いきれ、青田(課題「里」)。
2025.5
夏めくや時どき揃ふ笛の音夏めくも脅す雨雲雷ひとつ

新茶汲む来し方語る里言葉

百万の生命の気炎草いきれ

みちのくはどこもふる里大青田
夏:蝸牛、昼寝覚・鞦韆(課題「世」)。
2025.5
でで虫の歩を慈しむ歳となり
気忙しき世に取り合はず蝸牛
父母の世にうつかり長居昼寝覚

戯れの鞦韆人世浮き沈み
春:青き踏む、春寒し、花の冷え。
2025.3
年齢すこし振り落すごと青き踏む
老成に遠き道程青き踏む
大船渡の山林大火
火は山を這ひ海暗く春寒し

即効の一献欲せり花の冷え

春:長閑、春疾風・飛花・夕桜(課題「成」)。
2025.2
覚えある訛りガイドの声長閑人違ひの一揖を詫ぶ長閑かな

大願は成らず絵馬打つ春疾風

晩成てふ語に牽かれ来て飛花の中
冬:おでん、寒に入る(課題「気」)、冬麗。
2025.1
蟹歩きして奥の席おでん酒

五臓六腑営み健気寒に入る
狛犬の阿の音漠と冬うらら
冬うらら葉を留む木々競り合うて
冬:氷点下、樹氷、老いの春・寒風(課題「見」)。
2024.12
雷に似るカート引く音氷点下
樹氷咲く蔵王色なく粛として
装はず何に見栄張る老の春

寒風やうす着の吾を見逃さず
冬:小春・帰り花、飛雪・寒林(課題「時」)。
2024.11
夢あまた吸ひて小春の古枕

刈込みし枝に莟
大時計誉めて飛雪の宿りかな
何時ぞやの夢寒林に捨てにゆく
冬:おでん、冬の雲・冬紅葉(課題「分」)。
2024.10
おかへりと言はれ今日またおでん酒
本心は湯気に隠しておでん酒
山半分明るく残し冬の雲

存分に魅了しなほも冬紅葉
秋:竹の春、月見、今日の月。
2024.9
みちのくの蝶ふらふらと竹の春道ひとり天

白雲の添ひて隠さず今日の月

友亡くてけふの月見る鬼城の忌

秋:曼珠沙華、鰯雲・紅葉(課題「行」)。
2024.8
怠れる考妣
寺門への道に気取らず曼珠沙華
行く末にわづかな願ひ鰯雲

紅葉行くトロッコ列車最徐行
夏:夏果・雲の峯、風鈴市・夏夕べ(課題「客」)。
2024.7
喘ぎあへぎ干支七度目の夏終る

ひと雨を願へど遠き雲の峯
客誘ふ程よき風の風鈴市
風音を客かと覚ゆ夏夕べ
夏:空蝉・雷(課題「意」)。
2024.6
空蝉の威風あざむくその軽さ
空蝉や重厚にして虚ろなる
庭下駄に敵意なき眼の蜥蜴居る

独り居を脅すや不意の日雷
夏:新緑・梅雨・緑雨。
2024.5
新緑や在るものすべてやはらかし
夢とただ一文字の墓梅雨寒し


ほとばしる生命の森に緑雨かな

新緑の気ままに競ふ狭庭かな
夏:夏めく、打水・梅雨(課題「後」)。
2024.4
香煙に太き二の腕夏めきぬ
遠山の影おく田面
打水の後気まぐれな通り雨

気まかせの後ろ歩きに梅雨の星
春:春夕べ、強東風、梅。
2024.3
憂ひなしと強がり酌むや春夕べ
強東風や天神の絵馬打ち合うて


指で拭く硝子戸の露梅三分
春:山笑ふ。薄氷・初蝶(課題「心」)。
2024.2
地震
幾すぢか水送り出し山笑ふ
薄氷

初蝶やむかし心を占めし夢
新年:あらたま、初明り。冬:冴ゆ、寒夕焼。
2024.1
あらたまを砕きし地震
雨戸引くすなはちどつと初明り
扉を開けて待つ終電車風冴ゆる
手術終へまどろむ妻に寒夕焼
冬:寒の雨。雪・年酒(課題「一」)。
2023.12
手術室妻眠りてむ寒の雨
枯約束の午後ははたして寒の雨
雪載せて客車一輛夜の駅
一齢をまた加へけり年酒酌む
秋:秋深し・冬用意・冬仕度。冬:冬構・時雨。
2023.11
剃る髭に白の交じりて秋深し二十年開けぬ箱開け冬用意
捨てがたきものの言い訳冬仕度
空き家かと見えしが確と冬構


いづこにか音ひとつして時雨かな
冬:炭団・初暦(課題「丸」)。枯菊。
2023.10
崩れずに尽きし炭団の丸さかな
わが干支の生れ日に丸初暦
枯菊を焚けば漂ふ掉尾の香

誉め言葉みな根に残し菊枯るる
秋:温め酒・秋の風(兼題足)・雁渡し・新涼。
2023.9
往けぬ地の銘柄を選り温め酒
駈け足で来たれ皆待つ秋の風

城跡の橡の葉擦れや雁渡し
新涼は吝嗇風のありやなし
秋:小鳥、小鳥来る。秋夕焼・鰯雲(課題「口」)。
2023.8
もどかしき見えざる小鳥揺るる枝
小鳥来る蘇る森津浪痕
公園の蛇口上向き秋夕焼
いわし雲口衝いて出る郷の唄
夏:炎天、蝉時雨、合歓の花。
2023.7
連なれる黙祷の日日炎天下
炎天や故山の偉容さへふて寝

耳鳴りの癒えたる如く蝉時雨

合歓の葉の眠る傍
夏:四葩( 、立葵(課題「坂」)。秋:残暑。
2023.6
杖の身を励ます四葩女坂
海坂
湧きさうな句ごころ掠

クレーン突く残暑の街の空四角
夏:暑し、端居、涼風
2023.5
思ひ出す顔出ぬ名前風暑し
老いらくの無為は愉しみ夕端居
電車過ぐあとを涼風埋めに来る
涼風やカーテン吹かれきてしぼむ
夏:早苗田。夏座敷、松落葉(課題「中」)。
2023.4
早苗田の隅に仕上げの二三本
降り出して波紋競り合ふ植田かな
山中と思ふ静けさ夏座敷

人待ちて昏るる中庭松落葉
春:枝垂梅、春、囀、彼岸。
2023.3
行く雲や父往ぬ年齢となる彼岸
やはらかき土踏み春を得し心地

風来ればひととき舞ひて枝垂梅
囀や愛の会話を憚らず
囀の擬音似気
春:クロッカス・春の雨(課題「土」) 、花曇。
2023.2
土塊を除ければ芽ざすクロッカス
やはらかき土に仕上げて春の雨
己が影失せまた淡く花曇

老いの歩の幾たび遅れ花曇
冬:寒に入る、冬ざくら、春近し。新年:屠蘇、初笑ひ。
2023.1
大三角しかと位置取り寒に入る咲き満つも日影さびしき冬ざくら

風に鳴る新しき絵馬春近し

微笑みて語る来し方屠蘇の酔

転

冬:悴む。新年:(課題「出」) どんと祭・四日。
2022.12
悴める電話訥々語を繋ぐ
悴む手鋏を逃る絡み枝
転げ出る両目の達磨どんと焼

覚えある出囃子洩れ来四日かな
冬:帰り花、枯野、冬紅葉、冬木立。
2022.11
成らざりし夢数知れず帰り花
己が影細く枯野をゆく齢

老の坂事無く過ぎよ冬紅葉
空広く町並近く冬木立
秋:新酒、今年酒、秋時雨、秋思。
2022.9
蘊蓄は敢へて語らず新酒注ぐ
米寿まで命惜しまむ今年酒
机の灯消せば微かに秋時雨

灯火を消して秋思の今日を閉づ
夏:大暑、炎暑、雲海、原爆忌、梅雨籠。
2022.7
動くものただ波ばかり大暑かな雲海に捨てたる憂さの待つ下界


原爆忌短き影の祈りかな
すべからく不要不急よ梅雨籠
核の棒埋めてやあらむ炎暑かな
夏:青田、蟻、走り梅雨、沖縄忌。
2022.5
いつさいを広き青田に忘れけり
命ある虫曳く蟻のたぢろがず



六法に若き我の字沖縄忌
若葉マークおづおづ右折走り梅雨
人忙し薄暮の駅の走り梅雨
春:春宵、春燈、連翹。
2022.3
春宵の明りほのかや火灯窓
月影に愛でられ淡し春燈

連翹の一枝丸く垣の外
新年:屠蘇。冬:冬籠、白菜、湯冷め。
2022.1
老いたりと未だとも覚ゆ屠蘇の酔
冬籠広辞苑繰る無聊かな

剥ぐほどに白菜の肌真白なる
白菜を割れば幅狭等圧線
中天にオリオンありて湯ざめかな
秋:温め酒、冬:時雨、師走、十二月、枯木立。
2021.10
我が問にわれが答へて温め酒陰陽師祀る神社の京時雨
あの老の店は更地に師走風
老い急ぐつもりはなくも十二月
石段に折れ映る我枯木立
秋:紅葉、椋鳥、昼の虫。
2021.9
妻願ふ上げ膳据へ膳紅葉宿
椋鳥
ひび入りし駅の柱や昼の虫
秋:秋、秋彼岸、新豆腐、蟷螂、秋真昼。
2021.8
「功」「巧」は失せ「朽」のみの八十路秋目瞑りてまた独り言秋彼岸
半分は仏に頒かち新豆腐
挑みてむ虚空切る斧小蟷螂
秋真昼出窓に眠る猫二匹
夏:大暑、夏の果、川涼み、百日紅。
2021.7
籠り癖俳句不作の大暑かな
思ひ出のみな色褪せて夏の果

ほろ酔うてひとりがよろし川涼み

雨伝ふ幹艶やかに百日紅

夏:団扇、一夜酒、夏祭、梅雨晴間、梅雨明。
2021.6
そこここに来し方の風古団扇沁み渡れ萎へし五臓に一夜酒
老いて子に返る愉しさ夏まつり
モノクロの頓
梅雨明けや隅に見知らぬ花ふふむ
夏:百合、灼く、罌粟( ) 坊主、梅雨寒し。
2021.5
百合供へ妣


影小さし灼くる広島祈る街
罌粟坊主揺れて遊ぶや微睡むや

三円の解約利息梅雨寒し

夏:葉桜、梅雨籠、四葩、青野、明易。
2021.4
会者定離葉桜の空いさぎよし臆病と安全同義梅雨籠
雨しとど四葩
どこまでも空を支うる青野かな
年代の入り交ふ夢や明易し
春:梅、霞、東風寒、桜闇、花の塵。
2021.2
スニーカーに替へれば軽し梅の坂独り言つ往時茫々春霞
東風寒や合格祈願絵馬微動
ビル映す千鳥ヶ淵の桜闇
径までの遊び束の間花の塵
以下は季別のFileに移稿済です。('22.8.9、'24.2.13。)
新年:初明り、賀状、四日。春:余寒、春の風邪。
2020.12
我になほほどほどの夢初明り年賀状拙き一句添へし悔い
大吉も護らぬ風邪の四日かな
酒いかが背中に誘ふ余寒かな
銚子つつむ手から癒ゆるや春の風邪
冬:咳、羽子板市、日短。 新年:去年今年。
2020.11
吽形の貌して咳を怺へたる
遠巻きも呼ばれて手締め羽子板市

いさぎよき裸の欅日短か
憂きことは言はず思はず去年今年
冬:十一月、十二月、風邪薬、冬小菊、花八つ手
2020.10
十一月俄かに老いぬさるすべり清水の一ト文字如何十二月
医者厭ふらむ微熱風邪薬買ふ
病むひとに逢へず古りたる冬小菊
足るを知るは老への褒美花八つ手
秋:雨月、菊の香、蟷螂
2020.9
人偲ぶ時宜
菊の香や老てふ世界未知と危懼
蟷螂の斧上ぐる先すでに星
秋:秋の風、うろこ雲、稲穂、夜長、今年酒
2020.8
水底に波の影なす秋の風またひとり遠くなりけりうろこ雲
夕風に揺らぎわづかや稲穂波
終バスの往きて夜長の水明り
戻り来よネオンの温み今年酒
夏:百日紅、端居、夜の秋、胡瓜
2020.7
まづ健康父の口癖百日紅句仲間は遠く酒友もなく端居

人ひとり過ぐる息差し夜の秋
棘強き胡瓜をほめて洗ひけり
夏:梅雨晴間、炎昼、夏萩、風鈴、浴衣
2020.6
怠りの日月なれど梅雨晴間炎昼や千木
夏萩や父母の忌未だ修せざる
幾春秋寂びたる里の鉄風鈴
行きどまり返す畦道浴衣の子
夏:夏座敷、青野、日傘、五月、「静」
2020.5
静寂が先客のごと夏座敷

真ふたつに青野を分けて鉄路かな


日傘たたむ深きお辞儀の喪服かな
ふるさとは遠し自粛の五月なる
夏:立夏、夏の雨、木下闇、葉桜、七変化
2020.4

休業の貼紙古書肆夏の雨
不要不急俯き歩む木下闇
訊ねまじ疾うに葉桜家籠
この年はなに色にせむ七変化
春:花、朧夜、春疾風、啄木忌、花冷
2020.3
気を持たす標本木の花一輪朧夜や傘寿息災急ぐまじ
病む友の古き手紙や春疾風

心奥のふるさと目覚む啄木忌

一献に癒し求むや花の冷え
春:花の山、花万朶、花疲、夕桜、花の塵
2020.2
褒め言葉らしき異国語花の山天地みなわがものにして花万朶
さりながら一献老いの花疲
薄明りなれば生きいき夕桜
誉められて咲き抜きこの日花の塵
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新年:老の春、屠蘇の酔
冬 : おでん、枯尾花、山眠る
2020.1
鏡には嘘なき齢老の春八十路てふ老の入口屠蘇の酔

おでん屋に客を追ひ込む襟の風


逆光と風はともがら枯尾花
裾を縫ふ水なき川や山眠る
冬:凍て月、春近し。春:寒明け、冴返る
2019.12~20.1
凍て月やポストの頭仄白く眠き日の雨音しづか春近し
寒明けの地蔵の頬のゆるみかな
やり直す採血の針冴返る
新年:初明り、初景色
2020.1
ほどほどの八十路の願ひ初明り枯色のまま予定地の初景色
冬:石蕗( の花、冬の日、年忘
2019.12
石蕗の黄の色を奪ひて暮れにけり
冬の日や微笑む風の生れけり
選り迷ふ笊の酒杯や年忘

冬:風花、切干、短日。
2019.11
風花や地蔵に褪せし朱の被り

風花に頬を吹かれて蕎麦屋酒
日の粋な仕置き切干日々細る
短日やふるさと訛り湯気の先
冬:立冬、大根引、帰花、銀杏枯る、熱燗
2019.11
冬立つや細くなりたる脹ら脛大根引く土の香温し大き穴
強かな生命の証し帰り花
天を衝く公孫樹裸木街黙す
結論はつぎ会ふときに燗熱し
秋:糸芒、秋出水、末枯野(
2019.10
岩風呂へ径の孤灯や糸芒
秋出水退いて泥の田雲奔る

容赦なく甚振

秋:秋立つ、秋暑し、虫時雨、鬼城忌、秋中日
2019.8
秋立つや朽ちてゆくもの稔るもの異季の句を捨てて戻して秋暑し
鳴き下手も臆せず集く虫時雨
英訳の句碑置く街や鬼城の忌
供花
秋:秋暑し、鰯雲
2019.8
蚊取りの香残る縁側秋暑し
またひとり遠方
秋:今朝の秋、秋雲
2019.8
今朝秋のおりんの長き余韻かな
秋雲や至上の涙準優勝
風なくも小花落ち初む今朝の秋
夏:梅雨寒、焼酎。 秋:星月夜
2019.7
啄木碑銀座梅雨寒傘滴焼酎の氷縮みて闇静か
医者勧む焼酎も酌む傘寿かな
星月夜そぞろ歩きのわらべ唄
夏:梅雨諸題、夏の雨
2019.6
梅雨寒しひとりホテルのバイキング検査値は経過様子見梅雨の星
梅雨晴間話長引く犬自慢
所在なく捲る地図帳梅雨明くる
崩さるる山に溝掘る夏の雨
夏:枇杷、万緑
2019.6
椋鳥の去れば無慈悲な枇杷の疵

万緑の例外ならず休耕地
夏:新緑、釣忍( )
2019.5
新緑の枝伐る咎の一ト日暮る

町筋の喧噪吸うて釣忍

夏:余花、杜若( 、たかんな、筍・蕗、青嵐
2019.4

つぎ観るは八十路の老ぞ杜若
たかんなや鍬の刃痕の見事なる
盛り鉢に筍と蕗竹お猪口
ひと遅し松葉を運ぶ青嵐
春:遅日( 、日永、紫陽花、短夜
2019.4
メトロ降り遅日の街の賑ひに
池の面
紫陽花のありて明るき雨となり
短夜や泣いて寝る子のうまし夢
春:花、花屑
2019.3
墨堤に花咲満ちて風のまま花屑を土に還して夜雨過ぎぬ
春:ものの芽、青き踏む、春の川、風車
2019.3
ものの芽やまた一年の幸賜ふ
独り言ち励ます傘寿青き踏む

わが影をさざ波にして春の川
子ら燥ぐペットボトルの風ぐるま
春:春の川、初蝶、うららか、長閑
2019.2
せせらぎは神笑むところ春の川初蝶を吹く川風の容赦なき
うららかや犬と目が合ふ車椅子
忘れたる歌詞はララララ舟うらら
長閑さや猫も甘えを覚えけり
春:春の川、春寒、余寒
2019.2
子ら覗く何かあるらし春の川

蹠
両の手で銚子を包む余寒かな
春:春寒し、春の風邪
2019.2
春寒し同じ礼言ふ販売機


自慢せしその翌日の春の風邪

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