ひとり句会-近詠
ひとりだけの気ままな句会
如雨
俳誌、雑誌等掲載、句会等入選の俳句を記録のためにサブノートのさらにサブとして置きました。

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近      詠





ここ三年ほどの句を掲載しています。
それ以前の句は各季別のファイルにまとめてあります。
フリガナは一部新仮名遣いにしていることろがあります。
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春:寒明=春季、(課題「立」)。

2026.1

色褪せし年頭所感寒明けぬ  
錠剤の残りに感謝寒明くる
立てし襟戻して一歩寒明けぬ  
母の忌や仰ぐさえ立つ寒北斗

冬:寒見舞・熱燗・技。

2026.1

自然てふ匠の余技や帰り花 
熱燗や止り木の奥繭の中
老翁の速む狭き歩寒に入る 
鰭酒の二杯目辞する年齢ながら 
熱燗やあと一本は大徳利

冬:師走・寒雷・一茶忌・酉の市。

2025.11

忌はしき映像しきりはや師走
寒雷に全天目覚む日本海
軒雀(いと)しからずや一茶の忌
寄る店の閉ぢし新宿酉の市

冬:冬日和、晦日・鰤(課題「美」)。

2025.11

父母の笑むごと墓ぬくむ冬日和  
冬日和三時は好日惜しむ刻
(ながら)へし褒美か美酒と晦日蕎麦  
鰤美味し越後もとより酒旨し

秋:案山子、野分・十三夜(課題「名」)。

2025.9

役終へし褒美の酒に案山子寝ぬ  
暮るる田に雀の友の案山子佇つ
野分あと老いし庭師の古名刺  
ほろ酔へば名も麗しき十三夜

秋:鬼城忌・秋の声・新蕎麦・虫の声。

2025.9

重き名の句会つなぎて鬼城の忌 
秋の声なにに隠れてまあだだよ 
友の打つ新蕎麦に酌む郷の酒 
月食の満つればやみぬ虫の声

夏:草いきれ、夏燕・郭公(課題「知」)、夏の蝶。

2025.6~7

幾万の生命ひしめく草いきれ 
ここからは草いきれ道辻地蔵
町の道知りぬき自在夏燕 
郭公の企み知らず餌を頒つ
蔭多き寺庭を選りて夏の蝶

夏:夏めく、新茶、草いきれ、青田(課題「里」)。

2025.5

夏めくや時どき揃ふ笛の音
夏めくも脅す雨雲雷ひとつ 
新茶汲む来し方語る里言葉 
百万の生命の気炎草いきれ 
みちのくはどこもふる里大青田

夏:蝸牛(かたつむり)、昼寝覚・鞦韆(しゅうせん)(課題「世」)。

2025.5

でで虫の歩を慈しむ歳となり 
気忙しき世に取り合はず蝸牛
父母の世にうつかり長居昼寝覚 
戯れの鞦韆人世浮き沈み

春:青き踏む、春寒し、花の冷え。

2025.3

年齢(とし)すこし振り落すごと青き踏む
老成に遠き道程(みちのり)青き踏む
大船渡の山林大火
火は山を這ひ海暗く春寒し
即効の一献()せり花の冷え

春:長閑、春疾風・飛花・夕桜(課題「成」)。

2025.2

覚えある訛りガイドの声長閑
人違ひの一揖(いちゆう)を詫ぶ長閑かな 
大願は成らず絵馬打つ春疾風 
晩成てふ語に牽かれ来て飛花の中

冬:おでん、寒に入る(課題「気」)、冬麗。

2025.1

蟹歩きして奥の席おでん酒 
五臓六腑営み健気寒に入る
狛犬の阿の音漠と冬うらら
冬うらら葉を留む木々競り合うて

冬:氷点下、樹氷、老いの春・寒風(課題「見」)。

2024.12

雷に似るカート引く音氷点下  
樹氷咲く蔵王色なく粛として
装はず何に見栄張る老の春 
寒風やうす着の吾を見逃さず

冬:小春・帰り花、飛雪・寒林(課題「時」)。

2024.11

夢あまた吸ひて小春の古枕 
刈込みし枝に(つぼ)める帰り花 
大時計誉めて飛雪の宿りかな
何時ぞやの夢寒林に捨てにゆく

冬:おでん、冬の雲・冬紅葉(課題「分」)。

2024.10

おかへりと言はれ今日またおでん酒  
本心は湯気に隠しておでん酒
山半分明るく残し冬の雲 
存分に魅了しなほも冬紅葉

秋:竹の春、月見、今日の月。

2024.9

みちのくの蝶ふらふらと竹の春
道ひとり(そら)にみちづれ月見かな 
白雲の添ひて隠さず今日の月 
友亡くてけふの月見る鬼城の忌 

秋:曼珠沙華、鰯雲・紅葉(課題「行」)。

2024.8

怠れる考妣(こうひ)の回忌曼珠沙華 
寺門への道に気取らず曼珠沙華
行く末にわづかな願ひ鰯雲 
紅葉行くトロッコ列車最徐行

夏:夏果・雲の峯、風鈴市・夏夕べ(課題「客」)。

2024.7

喘ぎあへぎ干支七度目の夏終る  
ひと雨を願へど遠き雲の峯
客誘ふ程よき風の風鈴市
風音を客かと覚ゆ夏夕べ

夏:空蝉・雷(課題「意」)。

2024.6

空蝉の威風あざむくその軽さ 
空蝉や重厚にして虚ろなる
庭下駄に敵意なき眼の蜥蜴居る 
独り居を脅すや不意の日雷

夏:新緑・梅雨・緑雨。

2024.5

新緑や在るものすべてやはらかし  
夢とただ一文字の墓梅雨寒し  
ほとばしる生命の森に緑雨かな  
新緑の気ままに競ふ狭庭かな

夏:夏めく、打水・梅雨(課題「後」)。

2024.4

香煙に太き二の腕夏めきぬ 
遠山の影おく田面(たのも)夏めきぬ
打水の後気まぐれな通り雨 
気まかせの後ろ歩きに梅雨の星

春:春夕べ、強東風、梅。

2024.3

憂ひなしと強がり酌むや春夕べ  
強東風や天神の絵馬打ち合うて  
指で拭く硝子戸の露梅三分

春:山笑ふ。薄氷・初蝶(課題「心」)。

2024.2

地震(なゐ)に明けしこの年もまた山笑ふ 
幾すぢか水送り出し山笑ふ
薄氷(うすらひ)を踏めば童心らしきもの 
初蝶やむかし心を占めし夢

新年:あらたま、初明り。冬:冴ゆ、寒夕焼。

2024.1

あらたまを砕きし地震(なゐ)の咎幾重 
雨戸引くすなはちどつと初明り
扉を開けて待つ終電車風冴ゆる
手術終へまどろむ妻に寒夕焼

冬:寒の雨。雪・年酒(課題「一」)。

2023.12

手術室妻眠りてむ寒の雨 
枯約束の午後ははたして寒の雨
雪載せて客車一輛夜の駅
一齢をまた加へけり年酒酌む 

秋:秋深し・冬用意・冬仕度。冬:冬構・時雨。

2023.11

剃る髭に白の交じりて秋深し
二十年開けぬ箱開け冬用意
捨てがたきものの言い訳冬仕度
空き家かと見えしが確と冬構 
いづこにか音ひとつして時雨かな

冬:炭団・初暦(課題「丸」)。枯菊。

2023.10

崩れずに尽きし炭団の丸さかな 
わが干支の生れ日に丸初暦
枯菊を焚けば漂ふ掉尾の香 
誉め言葉みな根に残し菊枯るる 

秋:温め酒・秋の風(兼題足)・雁渡し・新涼。

2023.9

往けぬ地の銘柄を選り温め酒 
駈け足で来たれ皆待つ秋の風 
城跡の橡の葉擦れや雁渡し
新涼は吝嗇風のありやなし

秋:小鳥、小鳥来る。秋夕焼・鰯雲(課題「口」)。

2023.8

もどかしき見えざる小鳥揺るる枝  
小鳥来る蘇る森津浪痕
公園の蛇口上向き秋夕焼
いわし雲口衝いて出る郷の唄

夏:炎天、蝉時雨、合歓の花。

2023.7

連なれる黙祷の日日炎天下 
炎天や故山の偉容さへふて寝 
耳鳴りの癒えたる如く蝉時雨 
合歓の葉の眠る(かたへ)に花のゑみ

夏:四葩(よひら)、立葵(課題「坂」)。秋:残暑。

2023.6

杖の身を励ます四葩女坂  
海坂(うなさか)に溶けゆく没日立葵
湧きさうな句ごころ(かす)む残暑かな  
クレーン突く残暑の街の空四角

夏:暑し、端居、涼風

2023.5

思ひ出す顔出ぬ名前風暑し 
老いらくの無為は愉しみ夕端居
電車過ぐあとを涼風埋めに来る
涼風やカーテン吹かれきてしぼむ

夏:早苗田。夏座敷、松落葉(課題「中」)。

2023.4

早苗田の隅に仕上げの二三本  
降り出して波紋競り合ふ植田かな
山中と思ふ静けさ夏座敷  
人待ちて昏るる中庭松落葉

春:枝垂梅、春、囀、彼岸。

2023.3

行く雲や父往ぬ年齢となる彼岸 
やはらかき土踏み春を得し心地  
風来ればひととき舞ひて枝垂梅
囀や愛の会話を憚らず
囀の擬音似気(にげ)無き夜の駅

春:クロッカス・春の雨(課題「土」) 、花曇。

2023.2

土塊を除ければ芽ざすクロッカス  
やはらかき土に仕上げて春の雨
己が影失せまた淡く花曇  
老いの歩の幾たび遅れ花曇

冬:寒に入る、冬ざくら、春近し。新年:屠蘇、初笑ひ。

2023.1

大三角しかと位置取り寒に入る
咲き満つも日影さびしき冬ざくら  
風に鳴る新しき絵馬春近し  
微笑みて語る来し方屠蘇の酔  
(まろ)びし子母を見上げて初笑ひ  




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