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 お台場の桜



☆☆ お 台 場 の 桜 Ⅰ ☆☆

(見出し)【お台場 桜の謎】【第三台場の30本】

江戸時代末期、黒船襲来に備えて幕府が東京湾に建設し、砲台を据えた人工島「台場」の跡地で、30本ほどの桜が見頃を迎えている。レインボーブリッジからも見え、臨海副都心から歩いていける近さだが、余り紹介されていないので、訪れる人は少ない。実はこの桜、いつ誰が植えたかよく分からない謎の桜だという。

ブリッジをお台場側から品川方面に渡り始めてすぐ、左下に石垣で囲まれた四角い緑地が見えてくる。内側のくぼ地の3分の1ほどが雑木林。マツやカエデに交じり白やピンクの花をつけた木々が目に入る。新交通システム「ゆりかもめ」からも見える。

臨海副都心の活性化を目指す任意団体「臨海副都心まちづくり協議会」には、「あの桜を見るにはどうやって行けばいいの」といった問い合わせが来るという。
かつての「第三台場」で、現在は東京都立台場公園だ。複製の大砲が置かれている。
管理する財団法人・東京都公園協会によると、咲いているのはオオシマザクラとソメイヨシノ。15年前には約50本あったが、台風などで倒れ今は30本ほど。海風があたるせいか、都心より開花が遅いようだ。
樹齢50年以上と見られる立派な枝ぶりの木もある。ところが由来となると「記録がないので分からない。戦前に植えられたと思うが‥‥」(同協会)とはっきりしない。港区港郷土資料館にもこの桜の資料はない。
台場はペリーが1853年に来航した直後から江戸防衛のため建設された。第三台場は1928年に旧東京都が公園として整備し、国の史跡にも指定されている。太平洋戦争中は高射砲が置かれた。
軍事目的の場所なのでもともと植えたとは考えにくい。68年に工事で陸続きになるまでは船でしか行けなかった。誰がわざわざ船で苗木を持って来たのか。「港区史跡散歩」の著作がある元区職員の俵元昭(73)は「戦時中以外は遊び場やキャンプ場に使われ、茶店もあった。人が集まるので誰かが植えたのか」と話す。

(朝日新聞'03.4.4夕刊)








☆☆ お 台 場 の 桜 Ⅱ ☆☆

(見出し)【お台場の桜「植えました」】 【静岡・東京、50年前の生徒たち】 【建設100周年に/講和条約祝い】

「お台場の桜は50年前、私たちが植えました」。4日付夕刊で、東京のレインボーブリッジから見える江戸時代の人工島「第3台場」跡地に由来のわからぬ謎の桜約30本が咲いていると紹介したところ、こんな複数の声が朝日新聞に寄せられた。「きっとあのときの桜だ!」
夕刊を読み、千葉県八千代市の主婦細野弘子さん(65)は記憶がよみがえった。53年3月。戦争で疎開したまま住んだいた静岡県韮山村(現韮山町)の韮山中3年生だった。同級生や村の偉い人と一緒に台場に行き、桜の苗木を植えた。
「懐かしい。臨海副都心の開発ですっかり様子が変わり、近くを通るたびにあの桜がどうなったか気になっていた。仲良しだった同級生5人で訪ねてみるつもり」と喜ぶ。
韮山中に聞くと、53年3月10日に植樹した記録が残っていた。「品川台場緑化に、江川公(太郎左衛門)の郷土民により植樹奉仕してほしいとの趣旨に賛同し、生徒、教師、教育委員ら34人参加」とある。53年は郷土の偉人が台場を建設して100周年だった。
柴順三郎・前同県副知事(65)も同級生の一人だ。「小さな船で渡って桜と松を植えた。よく残っていてくれた。今年は卒業から50年だ。来年はぜひみんなで花見に行きたい」という。

東京都福生町(現福生市)の福生第一小の5年生は、52年4月28日、遠足で訪れ、桜を植えたという。サンフランシスコ平和条約が発効し、敗戦国日本が独立を回復した歴史的な日だ。体の弱かった息子に付き添ったという中丸富美さん(90)は言う。
「子どもたちと一緒に30~40センチぐらいの苗木を植えた。将来、自分が植えた木がわかるようにと何かの小屋の裏を選んだからよく覚えている。私にとって、お台場といえば桜です」
当時の引率教諭、田嶋定雄さん(77)は「講和条約を祝う横断幕が上野駅にあったのを覚えています」と話す。 東京都公園協会の桜井国男さんは「あらためて台場の歴史を感じさせる話だ。今後も大事に育てていきたい」と話している。

<キーワード>
台場:1853年ペリー来航後黒船襲来に備え、江戸幕府が伊豆・韮山の代官、
江川太郎左衛門(1801~55)に命じて東京湾に建設させた人工島。砲台を備
えたが、すぐに日米和親条約が結ばれたため、実際には使われなかったらしい。
桜が植わっているは第三台場。現在は臨海副都心から歩いてゆけ、東京都立
台場公園として整備されている。

五つボタンの制服に制帽の植樹時の写真も載っている。(朝日新聞'03.4.12)








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