啄木通し心の復興を 国際学会盛岡大会


 国際啄木学会(会長・望月善次盛岡大学長)の2011盛岡大会は最終日の6日、滝沢村の盛岡大短期大学部でパネルディスカッションなどを行った。盛岡市出身の歌人・詩人石川啄木(1886〜1912年)を通して、精神的な意味からの震災復興を探った。

 シンポジウムは「新しき明日、新しき啄木」がテーマ。池田功さん(明治大教授)、西連寺成子さん(明治大非常勤講師)、田口道昭さん(立命館大教授)、森義真さん(近代文学研究家、盛岡市)が参加し、望月さんが進行した。

 参加者は「新しき明日の来るを信ずといふ/自分の言葉に/嘘はなけれど−」などの作品や創作姿勢について考察。「壁が強固なほど意志が強くなる」「議論よりも実行」「地方から振興を進めなければならない」など、東日本大震災後の現在に通じる視点を読み取った。

 会場との議論では、若年層を含む多様な世代への広がりと、さらなる国際化に向けて意見交換。啄木研究の未来を展望した。

 ミニ講演では、インド・デリー大准教授でインド啄木学会(あこがれの会)会長のウニタ・サチダナンドさんが活動報告。インドの詩人たちが被災者にささげる詩集を作ったことなどを紹介した。

 次回大会は来年5月に台湾で開かれる。

【写真=啄木作品や人物像から震災後の「新しき明日」を探った国際啄木学会のシンポジウム】

(2011.11.7)